第3回 初級 基礎資料 その7

代表的な工作機械の種類《問題19 参考》

代表的な工作機械は以下の3つに大きく分類できます。

旋盤
:円形状や丸い棒状の工作物を回転させて加工
ボール盤・フライス盤・中ぐり盤
:切削工具を回転させて加工
研削盤
:研削砥石を回転させて加工

以下の章では、上記分類のうち最も代表的な汎用動工作機械を例に取るとともに、今日広く使われている、数値制御(NC)工作機械の解説、さらに自動工具交換装置を備え、数種類の工作機械機能が1台に集約された、ターニングセンタ、マシニングセンタ、複合工作機械について、それぞれ概要を説明します。

図5:数種類の工作機械機能が1台に集約された マシニングセンタの例

8-1 工作機械の基本構造《問題11 問題19 参考》

図6はNC旋盤と横形マシニングセンタを例にした、工作機械の基本構成です。横形マシニングセンタを例に取れば、主要構造要素のベッドとコラム(図6)は、ベッド上面に設けられた案内面をサドルが、コラム側面の案内面を主軸頭が、切削により発生する抵抗力、振動や自重に抗して摺動する動きをしっかりと保持するとともに、工具と工作物が高い精度で相対運動できるような動きの基準となっています。(構造の異なる「立て形マシンングセンタ」ではテーブルやサドルがベッド案内面上を摺動します。)

図6:NC旋盤と横形マシニングセンタ 基本構造 出典:「工作機械の設計学(基礎編)」(一社)日本工作機械工業会編 Cincinnati Milacron, Inc.

大型の構造本体要素は、重量軽減やその内側に色々な部品を内蔵することから中空構造(図7・図8)となり、強度を高めるために図8のような補強骨(リブ)が設けてあります。

  • 図7:マシニングセンタベッド鋳物(台湾 DEI-WU Casting Co.,Ltd)
  • 図8:門型工作機械の横桁内部構造

8-2 旋盤《問題12 参考》

旋盤は「丸物」と言われる、円盤状または円筒状工作物の加工に使われます。旋盤加工では、切削工具は固定され、工作物が回転します。そして、図12のように切削工具(バイト)を回転する工作物の半径方向に切り込み、軸方向に動かす(送る)ことで加工します。この加工を「旋削加工」と言います。

工作物は図10のように、主軸につけられた「つかみ」装置であるチャックで保持されます。ここで、主軸とは工作機械の主要部の一つで、工作物や切削工具が取り付けられモーターで回転される軸を指します。

工作物を旋盤チャックに取り付ける場合、図10のようにチャックハンドルを用いて、チャックの爪を開閉して工作物を取り付け、固定します。なお、チャックには爪が4個の「四つ爪チャック」もあります。一方、切削工具であるバイトは図11のように、前後左右に動く刃物台にハンドルとボルトネジで固定されます。

心押台(図12)は、ベッド上の主軸台対面にあり、ベッド上を長手方向に移動することができます。心押台の心押軸にはセンタを取付けて工作物を支持したり、ドリルを取付けて穴加工を行うこともできます。また、長い工作物については、図12のように主軸と心押し台で一端を支持しますが、振れ止めを併用して工作物を支えることもあります。

  • 図10:旋盤チャックに工作物を取付け
  • 図11:刃物台と取付けられたバイト工具
  • 図12:旋削加工と心押し台の利用
  • 図9:普通旋盤

図9は一般的な普通旋盤ですが、旋盤には大きな重量物の加工に用いられる、主軸を垂直にした形状の立旋盤もあります。

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