第4回 初級 基礎資料 その9

代表的な工作機械の種類

8-7 歯車加工工作機械《問題13 参考》

歯車の形状は図21のように「平歯車」と「傘歯車」に大別されます。そして、つるまき状の「はすば歯車」、回転運動を直線運動に変える「ラック・アンド・ピニオン」、回転方向を垂直に変換する「円筒ウォーム」など多種多様なものがあります。

図21:主な歯車の種類

歯車は、円柱鋼材の切断、旋盤によるブランク(歯車加工前の穴あき状態)加工、歯切り(歯部の削り出し)、焼き入れ(熱処理)、研削、歯研ぎといった工程を経て作られます。それぞれの形状の歯車を加工するには専用の歯切り盤として「平歯切り盤」および「傘歯切り盤」があります。

(1)ホブ盤による歯車加工(創成法)

歯車の歯切りには、「創成法」と「成形法」の2種類があります。創成法は、歯車の素材になる円盤(工作物)にラック形状の切削工具(ホブ)を押しつけ、切削工具と工作物の相対運動で歯型形状を作りながら、円盤の周囲を削り込む加工法です。一般的な歯車加工にはホブ盤が使用されています。また、傘歯車の加工も同じ加工方法で傘歯車歯切り盤が使用されます。(図22参照)創成法は精度の高い歯車ができる反面、加工コストがかかるデメリットがあります。精密歯車では、歯を刻んだ後に歯面を研磨して仕上げることがあります。

図22:歯車創成法
(2)フライス盤による歯車加工(成形法)

成形法は歯車の溝と同じ形状をした切削工具を用いて、歯を一枚ずつ加工します(図23参照)そして、一枚の加工が終えると、次の歯の加工のために、刃物を適切な位置に移動させなければなりません。例えば、汎用フライス盤でこの作業をするには、「割出台」と呼ばれる台(図23)を使用して歯切りの位置決めを行います。ただし、手間がかかる割に「歯車創成法」に比らべ精度が落ちます。しかし、NCフライス盤とNC割出台を使用することで生産性は向上します。

図23:歯車成形法
(3)ギア・シェイパーによる歯車加工

歯切り盤には、ホブ盤の他に「ギヤ・シェーパー」もあります。この加工は歯切り用切削工具を軸方向に動かすこと(赤矢印)により歯すじ(注1)を切削します。平歯車の他、円筒形の内側に歯すじを持った内歯車や軸と歯車が一体の部品(注2)などホブの可動域が保持できない場合に使用できます。

図24:歯切り盤(ギア・シェイパー)加工
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