第3回 初級 基礎資料 その4

日本の工作機械生産《問題9 参考》

日本の工作機械メーカーは、高性能でコンパクトにまとまった中小型NC工作機械を主力に開発し、「価格が安く、品質は良く、短納期でサービスも良い」という高い評判を得て、汎用NC工作機械という、新しいカテゴリーをつくりNC工作機械は急速に普及しました。

表3:工作機械生産高とNC機生産比率推移(日工会 工作機械闘鶏便覧 2020)

そしてメーカーの積極的な海外展開の結果、NC旋盤とマシニングセンタを中心に工作機械輸出比率は1980年には39.5%(このうち欧米輸出分は53.4%)に達しました。工作機械生産額も82年には、当時世界最大の工作機械生産国であった米国を抜き世界一位となり、生産高の53.9%がNC工作機械になりました。

その後、東西冷戦の終焉、日本のバブル経済崩壊、世界的な自動車産業再編、そして2008年に起きたリーマンショックと、いく度かの荒波にさらされましたが、1982年から2008年までの27年間、切削型で日本は世界最大の工作機械生産国の地位を維持し、生産額は1985年には初めて1兆円を突破しました。

リーマンショック後のグローバル経済は、中国を中心とする海外需要が主導する形で回復に向かいました。2011年には東日本大震災による電力不足問題などが経済活動の根幹を揺るがしましたが、工作機械の生産額は3年ぶりに1兆円を超えるまでに回復しました。13年は中国EMS(電子機器製造受託サービス)向け需要が一巡したことにより1兆円を下回ったものの、14年以降は1兆円を超える水準で推移しました。

19年以降は米中通商摩擦の激化・膠着化、国内での大型自然災害の多発、そして新型コロナウイルス感染症の世界的流行により景況は急速に悪化しており、先行きが極めて見通しにくい状況となっています。

ここ数年間、工作機械生産額のうちNC工作機械生産額は約90%程度を占めています。

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