工作物の穴あけや穴を堀り広げるための工作機械をボール盤といいます。ボール盤加工は旋盤加工とは逆で、工作物は固定され切削工具が回転して加工します。
工作物は上下に移動する図12の取付台(テ―ブル)の上に取付具(例:工作物を挟み込むバイス、工作物を上から押さえるクランプ具)でしっかり保持されます(図10)。また、主な切削工具である、ドリルは主軸先端に取りついているドリルチャックをチャックハンドルで開き挿入され締められます(図11)。そして、加工は主軸を回転させてドリルを下方向に動かし(送り)ます。
ボール盤では、ドリルで開けられた穴(下穴)にめねじ(ネジが入るらせん溝)を切る「タップ加工」や、ドリル穴を所定の穴寸法に広げながら、滑らかな面を作る「リーマ加工」もできます。
中ぐり加工は旋盤加工と同じ原理ですが、工作物は固定され中ぐりバイトが回転します。特に、ドリルでは加工できない大きい穴や、精度と綺麗な加工面が必要な穴の加工などは「中ぐりバー」を使用して穴の内面を削ります。汎用性が高いマシニングセンタの登場後も、マシニングセンタでは加工できない大型の工作物や、より高い精度が求められる穴加工では、中ぐり加工に特化した中ぐり盤が必要です。
中ぐり盤では中ぐり加工の他にドリル加工やフライス加工もできます。
図13の角バイト式ボーリングバーでは穴の直径や精度によって、ボーリングバーのバイト突き出し量を調整して徐々に仕上げていきます。また、何種類かのバイト突き出し量を設定したボーリングバーを交換しながら、徐々に削り量を少なくして、仕上げていく場合もあります。
図14は最も汎用的なテーブル型横中ぐり盤です。この機械ではテーブルが2方向に、主軸頭は上下方向に動き、3軸制御横型マシニングセンタと同じ軸構成となりますが、主軸頭端面からの「主軸繰出し機能(主軸クイル)」があります。この機能で、切削工具を長く突き出し、深い穴の中ぐり加工やフライス加工が可能になります。
横中ぐり盤には、図15のような中ぐり棒支持装置付もあります。この装置は、長さがある加工の際、中ぐり棒の他端近傍を回転可能で、かつ軸方向に摺動して支持します。(図16)加工の際には主軸繰出しによる作業が行われ、工作物を動かす必要がなく、大型の工作物加工にも適しています。